依頼者

遺言書を書けと言われるけど面倒なんだよね。家族仲は良いから相続争いなんてしないだろうし、そもそも争うほどの財産なんか無いから書かなくていいよね。

代表司法書士 永田

そう思う方はとても多いですよね。ですが実際には相続争いは大変身近な問題で、解決には遺言書はとても有効ですよ。

「両親に遺言を書いてもらいたいのだけど、書いてもらえない」というご相談をいただくことがあります。たしかに、感情的には「死」を連想する遺言書の作成に二の足を踏んでしまう気持ちはわかります。しかし、遺言書とは法律的な効力を生じる書面であり、冷静に将来の状況を好転させるために作成するものです。

ご両親が遺言書を書きたくない代表的な理由を確認することで、「なぜ両親が遺言書を書きたくないと思っているのか」を冷静に分析してみましょう。

遺言書を書かない理由

  1. 家族仲が良好だから必要ない
  2. 元気だから必要ない
  3. 遺言書に書くような財産はない
  4. 今から死ぬことを考えるのは嫌
  5. 書き方のルールがわからない、文字を書くのが面倒、字に自信がない
  6. 今の財産と亡くなったときの財産は変わるかも

➀家族仲が良好だから必要ない

今は家族関係が良好だとしても、自分の死後はどうなっているか分かりません。遺族間での争い(=争族)の原因は様々なものがあります。

例えば「昔、長男が贔屓されていたのが納得いかなかった!」等感情的なものから、「長女ばかりお金を貰ってずるい」という経済的なものです。兄弟間では仲が良くても、兄弟姉妹の配偶者が「兄弟姉妹に遠慮せず、あなたがもらえる相続の取り分を少しでも多く確保して」と裏で指示していることもあります。仲の良い家族であっても、遺言書がないために家族関係が崩れてしまう例はとても多いです。

➁元気だから必要ない

遺言書の作成には資料を集める必要があり、元気な状態ですら「遺言書の準備は大変だった」と思う方もいます。そのため、先延ばしにしてしまうといざ作成しようと思った時には体力が無かったり認知症になってしまう方もいらっしゃいます。認知症の方が遺言書を作成することは難しくなりますし、作成できたとしても「遺言書作成時には、父親はもう認知症になっていたはずだからこれは無効だ」といった相続争いの要因となります。遺言書の作成はお元気なうちから取り掛かりましょう。

③遺言書に書くような財産はない

「遺言書を準備するのは財産を多く持つ富裕層」とお考えの方は多いです。しかし、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件で認容・調停成立したもののうち、33%は遺産額1,000万円以下、75%が5,000万円以下という司法統計が出ています。遺産額に関わらず相続争いは多く起きており、決して富裕層だけが作成すればいいというわけではありません。

【遺言書のトップページと同じ記述】

④今から死ぬことを考えるのは嫌

「遺言書」と聞くと、テレビドラマなどで扱われる「遺書」を想像して暗い気持ちになる方もいますが、2つは全くの別物です。「遺書」が生前の個人的なメッセージなど法的な効力がないものであるのに対して、「遺言書」は自分の財産を誰にどのように分けたいかという意思に法的な効力を持たせるものです。実際に、ご自分の財産やご家族のことを冷静に考えて悩みを解決することで、将来に対して明るい気持ちになり「遺言書を書いて良かった」と思う方も多くいらっしゃいました。

⑤書き方のルールがわからない、文字を書くのが面倒、字に自信がない

遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つの方式があります。自筆証書遺言は自筆で作成し、さらに法律上定められた要件を全て満たす必要があるという厳格なルールがあります。これに対して、公正証書遺言なら公証人が作成するのでその手間がなく、ルールを気にする必要もありません。すべて公証人がパソコンで作成してくれるので、遺言書にご自分で手書きをするのは署名部分のみです。大まかに考えていることをお話しいただければ、当事務所で文章内容についてもサポートいたします。

【公正証書遺言のメリットのページ】

⑥今の財産と亡くなったときの財産は変わるかも

遺言書は一度書いたら書き直せないものではなく、書いた後に撤回することができます。将来について書くものなので、今後財産が変わるのも当然です。財産状況が変わっても遺言書をそのままにしておくほうがデメリットとなりますので、不動産を売却した時などは遺言書を作り直す必要があります。

ただし、頻繁に撤回をすると何回目の遺言が正しい遺言かがわかりにくくなってしまいます。例えば5年ごとなど、ある程度の期間を置いて作り直すようにしましょう。

【撤回のページ】