依頼者

兄が亡くなったのですが、私は相続人になるんでしょうか?

代表司法書士 永田

お兄様が亡くなった場合にも相続人になることがあります。ただ、相続人になるかどうかは法律でルールが決まっていて、お兄様のお子様がいない・お兄様のご両親等の尊属もいないという場合にはじめて相続人に当たることになります。

相続人とは、「法律によって被相続人の財産法上の地位を包括的に承継する者」とされています。相続人として亡くなった方の財産を受け取ったり、負債を負わなければならない人が誰なのかは法律でしっかりと決められています(民法900条)。

亡くなった方が所有していた自宅の相続登記をして名義を引き継いだり、口座を解約してお金を引き継ぐことができる人は誰になるのでしょうか。

法律で決まっている相続人とは?

☆配偶者は必ず相続人になる
亡くなった方の配偶者はどのような場合でも相続人になります。例え別居状態であったり何年も連絡をとっていない状態であったとしても、離婚をしておらず法律上の配偶者のままでしたら相続人に当たります。

配偶者以外の人については以下のルールになっています。

  • 第1順位・・・子

亡くなった方に子供がいれば、その子供が相続人になります。子供が実子であっても養子であっても変わりません。

  • 第2順位・・・直系尊属

直系尊属というと難しく感じますが、通常は亡くなった方の両親、祖父母、曾祖父母など、目上の方がこれに当たります。亡くなった方から見て近い世代の直系尊属が相続人です。例えば、両親ともに亡くなっていれば次に近い世代となる祖父母が相続人です。

  • 第3順位・・・兄弟姉妹

亡くなった方に子供がいなく、両親や祖父母等の直系尊属も亡くなっている場合には亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。第3順位となるとかなりレアケースのようにも思えますが、高齢で独身の方がお亡くなりになった場合には第3順位の相続人が登場するケースは実務上よく見かけます。

上記のルールをもとにして第1順位の相続人(子)がいれば第2順位(直系尊属)や第3順位(兄弟姉妹)の人は相続人にはなりませんし、第2順位の人が相続人になる場合には第3順位の人は相続人にはなりません。

このように、亡くなった方に

①子供がいれば その子供と配偶者

②子供がいなければ 直系尊属と配偶者

③直系尊属もいなければ 兄弟姉妹と配偶者

④子供も直系尊属も兄弟姉妹もいなければ 配偶者だけ

が相続人になります。

では、相続人以外の人が財産を相続することはできないのでしょうか?

亡くなった方の財産を相続できるのは相続人だけなので、相続人以外の方が「相続」をすることはありません。

しかし、「昔からの友人でとても良くしてもらった人には財産を渡したい」と思うこともありますよね。そのように、相続人以外へも財産を渡したい場合には遺言書を作り「遺贈」をすることで相続人以外に財産を渡すこともできます。当事務所では遺言書の文案作成もサポートしていますので、お気軽にご相談ください。【遺言書作成についてはこちら】

相続人が何人もいる場合には、一人当たりどれくらい相続できるの?

法定相続人となる人についてのルールをご説明しましたが、その相続人間でどのような割合により相続をするのかも法律で決まりがあります。これを法定相続分といいます。

<法定相続分のルール>

①第1順位(相続人が子と配偶者の場合)
配偶者と子はそれぞれ1/2ずつ

②第2順位(相続人が直系尊属と配偶者の場合)
配偶者は2/3、直系尊属は1/3

③第3順位(相続人が兄弟姉妹と配偶者の場合)
配偶者は3/4、兄弟姉妹は1/4

さらに子、直系尊属、兄弟姉妹が複数人いる場合(同順位の相続人が複数の場合)にはその人数で相続分を割ることになります。例えば、配偶者A子BCDで相続人が4人の場合には

配偶者A 1/2
子B 1/6
子C 1/6
子D 1/6

が法定相続分です。

※第3順位については、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とするという特別なルールがあります(半血相続といいます)。

亡くなった方が遺言書を作っていなかったり、相続人間で相続についての話し合い(遺産分割協議)をしない・まとまらない場合、この法定相続分にしたがって相続をすることになります。

相続人が先に亡くなっていたらどうなるの?(代襲相続)

①代襲相続とは

例えば、上の図のように父よりも先に子が亡くなっているご家庭の場合に相続人は誰になるのでしょうか?

本来でしたら相続人となるのは第1順位の子ですが、すでに子が亡くなっています。この場合、法律では世代を1つ飛び越えて孫が相続人になるとされていて、これを「代襲相続」といいます。代襲相続人の相続分は当初相続人となるはずだった人の相続分と同じ割合になります。

この例の相続分は母が2分の1 孫が2分の1となります。

②再代襲

これに加えて、第1順位の場合には相続人が決まるまでは代襲相続が何度でも続くというルールがあります。

子・孫が死亡した後に父が死亡した場合には配偶者とひ孫が相続人になり、その相続分は配偶者が2分の1 ひ孫が2分の1です。2度代襲相続があるのでこれを再代襲」と言います。

また、第3順位の場合にも代襲相続が生じます。

本来の相続人は兄弟姉妹ですが、被相続人よりも先に兄弟姉妹が亡くなっている場合、兄弟姉妹に代わり甥・姪が代襲相続人となります。しかし、第3順位の相続では代襲相続は1度しかないとされています。

被相続人よりも先に兄弟姉妹とその甥姪が亡くなっている場合、それに代わって甥姪の子が代襲相続人とはなりません。第3順位の代襲相続は1度しか生じないためです。

では、孫が複数いた場合はどうなるでしょうか?

以下の場合、相続人は配偶者と孫3人になります。そして、同順位の相続人が複数いる場合にはその人数で相続分を割るというルールがありますので

配偶者 1/2
孫 1/6
孫 1/6
孫 1/6

が相続分となります。

なお、この法定相続分にしたがって相続財産を引き継がなければいけないかというと、そういうわけではありません。法定相続分は絶対に守らなければならないわけではなく、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)により法定相続分と異なる割合で相続をすることも可能です。

相続人のうち注意が必要となる方とは

半血兄弟姉妹

父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹のことを「半血兄弟姉妹」といいます。あまり聞きなじみがない言葉ですが、例えば 「父親が離婚した後に再婚し、その再婚相手との間にできた妹」がこれに当たります。離婚している夫婦が増えてきている現代ではそれほど珍しくなくなってきていますね。

この半血兄弟姉妹の法定相続分は、両親が同じ兄弟姉妹(全血兄弟姉妹といいます)の1/2とされています。

この図の相続続分は全血兄弟姉妹2/3半血兄弟姉妹 1/3となります。

※半血兄弟姉妹は第3順位の時に問題となります。第1順位の時には全血半血の違いはなく、子は全員同じ法定相続分になります。

②養子

相続関係においては、実子も養子も同じ相続分になります。なお、養子には「普通養子」と「特別養子」という2つの制度があります。

普通養子の場合・・・実父母と養父母の双方の相続権がある
特別養子の場合・・・実父母との相続関係はすでに無くなって養父母との関係でのみ相続権がある

遺留分とは何?

①遺留分とは

遺留分とは、一定範囲の相続人に対して、亡くなった方の財産の一定割合について相続する権利を保障する制度のことです。わかりやすく言うと、相続人が最低限貰うことができる相続分のことをいいます。例えば、子であれば「お父さんが亡くなったら相続で少しは財産もらえるはずだよね」という一定の期待をしていることも多いですが、その期待を保護するために設けられている制度です。

法律上遺留分が認められている相続人は配偶者、子、直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分は認められていません

②遺留分はどれくらい認められるの?

相続人が①配偶者のみ ②子と配偶者 ③直系尊属と配偶者 の場合それぞれ亡くなった方の財産の2分の1直系尊属のみ の場合は亡くなった方の財産の3分の1の割合で認められています。複数人相続人がいる場合は、その遺留分の割合に相続人の法定相続分をかけたものが、それぞれの相続人の遺留分となります。

例えば配偶者Aと子BCD で相続人が4人の場合の子Bの遺留分は

1/2(全体の遺留分)×1/6(法定相続分)=1/12(子Bの遺留分)

と計算をします。遺留分額を実際に算定する場合には色々な事情を加味する必要がありますので、当事務所では弁護士から具体的な計算や遺留分をどのように行使していくかになどアドバイスをお願いしています。

≪動画解説者≫
弁護士 田中尚幸 先生
トップランナー法律事務所 所属
HPアドレス
https://toprunner-law.jp/