亡くなった父が遺言書を作っていたのだけど、これを使って相続登記をすることはできるのでしょうか?
亡くなった方が遺言書を作成していた場合、その遺言書を使って相続登記をすることができますよ。遺言書が自筆証書遺言・公正証書遺言のどちらであるかにより手続きが変わってきます。
遺言書がある場合、相続人間で遺産分割協議書を作成することなく相続登記をすることができるというメリットがあります。
相続人が多かったり、相続人間の仲が悪かったりして遺産分割協議をすることができないケースではとても便利です。
遺言書と遺産分割協議書について詳しくはこちら
Contents
遺言書を使った相続登記の申請方法
遺言書が公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらであるかにより必要となる手続きが変わってきます。
公正証書遺言の場合
公正証書遺言書(正本)がお手元にあれば、その遺言書をそのまま法務局へ提出することが可能です。
自筆証書遺言書の場合と異なり、家庭裁判所での検認手続きは不要です。
この点が公正証書遺のメリットの一つです。
自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言で相続時をするためには、家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。
「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではないので、検認を経ても遺言書の内容が有効になるわけではありません。
(家庭裁判所のHPはこちら)
検認手続の申し立てをすると相続人全員に検認をすることの通知をする必要があるため時間がかかりますし、裁判所での手続きということで相続人の方にかなりの負担がかかってきます。
なお、最近始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用して自筆証書遺言書を法務局へ保管していれば、検認をせずに相続登記に使用することが可能です。
(法務省の自筆証書遺言書保管制度のページはこちら
相続登記を申請するために法務局へ提出する書類
遺言書を使って相続登記をするには、遺言書以外に以下の書面を法務局へ提出します。
【必要書類】
・被相続人が亡くなったことがわかる戸籍
・不動産を引き継ぐ相続人の現在の戸籍
・被相続人が亡くなったときの住所が記載されている住民票
・不動産を引き継ぐ相続人の現在の住民票
・不動産の固定資産税評価額が記載されている評価証明書
遺言書がない場合と比べると、被相続人の戸籍は亡くなったことがわかる戸籍があれば足りますので、書類取得の負担はかなり少なくなくてすみます。
遺言書がある場合には遺産分割協議なくして手続きができますので、法定相続人の確定をする必要がありません。そこで、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍は要求されていないのです。
※ただし、相続人が第二順位(父母や祖父母)、第三順位(兄弟姉妹)になった場合には、先順位の相続人がいないことを証明するため、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になります。