依頼者

相続登記を申請するためには色々書類を持って行く必要があるんですよね?

代表司法書士 永田

はい。戸籍や不動産の評価証明書、遺産分割協議書や印鑑証明書が主な書類ですね。場合によっては、裁判所から発行された書類なども添付書類として提出することもあります。

相続登記を申請するために書類を集めようとすると、あれもこれも必要となってよくわからないと思われることも多いですよね。
実際に法務局へ提出をする際、一般的に必要となる書類を下記にまとめてみました。
これらの書類は他の手続き(銀行口座の解約など)ともかなりの部分が重複していますので、相続手続きをするにはこの収集は避けることができないものとなっています。

相続登記を申請する際に
法務局へ提出する書類
(遺言書がない場合)

  • 戸籍・・・お亡くなりになった方(被相続人)の出生から死亡までの連続したもの
    相続人全員の現在の戸籍(被相続人が亡くなった後に取得することが必要)
  • 戸籍の附票又は住民票の除票・・・被相続人の最後の住所地がわかるもの
  • 住民票・・・不動産を相続する相続人の住民票
  • 不動産の固定資産税評価証明書、名寄帳・・・被相続人が所有していた不動産に関するもの
  • 遺産分割協議書・・・相続人全員の署名・実印での捺印が必要
  • 印鑑証明書・・・相続人全員分
  • 相続関係説明図・・・相続関係がわかる家系図のようなもの

※上記が通常の相続登記に必要となる書類ですが、ケースにより権利証や相続放棄申述受理証明書、不在籍証明書・不在住証明書などが特別に必要となることがあります。

特に取得するのが大変なのが「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍」です。

「亡くなった方の戸籍が必要ですよ」とお伝えすると、亡くなった方が死亡している戸籍だけが必要なのかとお考えになる方も多いのですが、出生まで遡って全ての戸籍をとらなければなりません。これは、出生まで遡ると、「被相続人が誰と結婚したのか。子供が何人いるのか。養子をとっていたのか」など様々なことがわかるので、それによって相続人を確定することができるのです。

そして、出生まで遡るためには通常戸籍は4通~7通ほど必要になり、亡くなったことがわかる戸籍1通だけでは足りないことがほとんどです。現在戸籍だけでなく、改正原戸籍、除籍を取得していく必要になります。

※原戸籍とは戸籍法の改正によって、戸籍を新しく作り変える際に元となった戸籍です。
除籍とは婚姻や死亡等によりその戸籍内の全員が除かれた戸籍、または市町村外へ転籍した戸籍です。

わかりやすい例では、昔の戸籍は手書きの縦書き形式でしたが、現在の戸籍は全てデータで管理していますので横書きとなっています。これは戸籍法が改正されたためで、多くの役所では平成10年代前後に形式が変更されています。

例えば平成10年に縦書きから横書きに変更されている場合、その戸籍は平成10年から現在までの約20年分だけを証明をしているものになります。出生まで遡るためには改正される前の原戸籍をたどっていき収集を進めてく必要があります。

それ以外にも、結婚をすれば戸籍が変わりますし、お引越しで住所を移転するのと同時に本籍を変更される方も戸籍が新しくできます。このように一生の間でいくつもの戸籍、原戸籍、除籍が作られますので、それに合わせて書類を取得する必要が出てくるのです。

戸籍は戦前のものもあり、年代により形式が違っているため、一般の方ですとどこに何が書いてあるのかが分からないと思います。また、昔の戸籍は筆文字で書かれているので慣れていないとそもそも文字を読み取れないこともあります。

そのような昔の戸籍を個人で集めようとすると大変ですので、相続登記のご依頼をいただく際にはほとんどの場合、戸籍の取得も合わせてご依頼いただいております。

必要書類についてよくいただくご質問

住民票と戸籍の違い

よくいただく質問として「住民票と戸籍はどう違うの?どちらかだけを取得すればいいの?」というものがあります。
住民票は「住所」を、戸籍は「家族関係」をまとめたものですので、それぞれ別のものになります。相続登記をするときには両方とも必要になってきます。
ご自身で相続登記をしようと思って準備をしてみると、最初にここでつまずく方がとても多いです。

この2つの書類が必要な理由は
住民票・・・不動産の名義を取得する相続人の現在の住所を示すため
戸籍・・・お亡くなりになった方の相続人が誰になるのかを調べるため
に必要となっています。
このように2つの書類は使い道が違っているため相続登記をするときには両方とも必要になってきます。

なお、住民票は「現在お住まい(住民登録のある)」の市役所や区役所
戸籍は「本籍地のある」市役所や区役所
で取得することができます。

「住所はわかるけど本籍なんて覚えていないよ」という方もいらっしゃるかと思いますが、住民票には本籍を載せることもできますので、まずは住民票を取ってみましょう。

戸籍をどうやって集めればいいの?

次に多い質問としては「戸籍は1通ではダメなことが分かったけれど、どうやって集めればいいの?」というものです。

戸籍は本籍がある区役所・市役所・町役場などで取得をすることができます。
本籍がある役所が近くにあれば直接行って取得できますし、役所が遠方で直接行くのが難しい場合には郵送で取得することもできます。

実際にどのような戸籍を取得するか以下の家庭をもとにして見てみましょう。

上の図からわかる必要な書類

  • 父(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍
  • 相続人(母、長男、長女、二女)全員の現在の戸籍 ※父親が死亡後に取得

それを踏まえて以下の手順で戸籍を取得します。

①父が亡くなったことがわかる戸籍(千葉県柏市)

柏市役所で直接取得可能です。
係員に「父の柏市に本籍がある全ての戸籍をください」と係員に伝えると、2通程度の戸籍が発行されます。

<柏市の戸籍に記載されていること>

  • 「現在の戸籍謄本(平成10年の改正から死亡までのもの)」
  • 「原戸籍(平成3年の結婚で新戸籍ができてから改正まで)」
      ⇒結婚から死亡までの連続した戸籍が取得できました
  • 父が死亡していること
  • 母、二女の現在の戸籍
②父の結婚前の戸籍(島根県安来市)

柏市の原戸籍を見ると、父の結婚前の本籍は島根県安来市であったとわかります。安来市役所に直接行くのは難しいので、郵送で戸籍を取り寄せましょう。取り寄せるためには安来市役所のホームページにある戸籍取得のための請求書を印刷・記入して郵送します。安来市役所からは2~4通程度の戸籍が郵送されてきます。

(市役所に電話で「○○という戸籍が必要」と問い合わせると市役所の方が教えてくれます。ですが、不慣れな方だと職員の回答内容や見慣れない書類のやり取りで行き詰まる方が多いようです。)

<安来市の戸籍に記載されていること>

  • 「除籍謄本や原戸籍(出生から結婚まで)」
  • 父の出生時の本籍が安来市であること
  • 結婚により本籍が安来市から柏市にうつったこと

これで父の出生から死亡までの連続した戸籍を全て取得することができました。

③長男、長女の現在の戸籍

2人はそれぞれ結婚して親とは別の戸籍になっています。そのため長男は船橋市、長女は水戸市で現在の戸籍を取得する必要があります。
船橋市は直接市役所へ行き、水戸市は郵送で取得をします。

<船橋市、水戸市の戸籍に記載されていること>

  • 長男、長女それぞれの現在の戸籍

以上の手順で「父の出生から死亡までの連続した戸籍」と「相続人全員の現在の戸籍」が全て取得できました。お手元には戸籍が6~8通程度揃うことになります。なお、ご長寿の方が亡くなられた場合には戦前の戸籍や明治時代の戸籍を取得しなければならず、さらに多くの戸籍が必要になる場合もあります。

また、戸籍を取得する途中で「実は昔養子をとっていた」「実は前妻との間に子どもがいた」などが判明することもあります。そうなると想定していた相続関係と違ってくるので遺産分割協議をまとめることはかなり難しくなってきますね。

相続登記を申請する際に
法務局へ提出する書類
(遺言書がある場合)

  • 遺言書・・・公正証書遺言であれば、そのまま使用可能
    自筆証書遺言であれば、家庭裁判所で検認手続をする必要がある
  • 戸籍・・・被相続人がお亡くなりになったことがわかる戸籍
    不動産を相続する方の戸籍
  • 戸籍の附票又は住民票の除票・・・被相続人の最後の住所地がわかるもの
  • 住民票・・・不動産を相続する相続人のもの
  • 不動産の固定資産税評価証明書・・・被相続人が所有していた不動産に関するもの

遺言書がある場合には、遺言書により誰が不動産の名義や金銭を取得するかが決まっていますので、相続人全員による遺産分割協議を作成する必要はありません。

その場合には相続人が誰であるかを確認する必要はありませんので、戸籍は①被相続人がお亡くなりになったことがわかるものと②不動産を引き継ぐ相続人の現在の戸籍の2通だけで足りることになります。遺言書がない場合に比べるととても楽ですね。

戸籍は同じものを何通も取得しないといけないの?

最後に多い質問として「同じ戸籍を何セットも取得しなければならないのか?」というものです。
相続登記をするために法務局へ、預金口座を解約するために銀行へ、株の名義を変えるために証券会社へ・・・と考えると、戸籍は提出先分の何セットも取得しなければならないように思えます。

しかし、多くの場合には法務局などへ戸籍の原本を提出しても手続きを踏めば原本を返してくれます。
戸籍を使いまわすことができますので、基本的に戸籍については最低限1セットだけ取得をすれば相続手続をすることができます。

※提出機関によっては戸籍の原本を返却してもらえない場合もありますので事前にご確認ください。

なお、提出先の金融機関や証券会社が多く同時並行で手続きを進める場合には、戸籍が1セットだとやりとりに時間がかかってしまうことがあります。そのような場合には戸籍のセットに代わる「法定相続情報一覧図」という相続関係を証明する書類を作成することも検討しましょう。この法定相続情報一覧図があると1枚の紙を提出するだけで戸籍の束を提出したものと同じ効果がありますので非常に便利です。

法定相続情報一覧図は法務局に書類を提出して発行してもらう書類です。提出先の金融機関の数だけ発行してもらうことも可能です。当事務所で作成・提出をすることもできますのでお気軽にご相談ください。