相続登記義務化に向けての準備

令和６年４月１日から相続登記をすることが義務化されることになりました。

詳しくはこちらをご覧ください。

相続登記が義務化されます。

義務化の直前になって焦ることがないよう、準備を進めておきましょう。

すでに相続が起こっているが相続登記をしていない方

・先延ばしにしていた相続人間での遺産分割協議を行う

相続が起こったとしても、不動産については遺産分割協議をしていないというケースは珍しくありません。

相続についての話し合いをなるべく早めに行いましょう。

時間が経てば経つほど相続人が増え、数次相続や代襲相続などが発生してしまい相続関係が複雑になってしまいます。

相続登記の義務化を契機に相続人間で話をしてみましょう。

また、打合せをしていると「夫が亡くなったときに相続人間では口頭で話をしたけど、書面にはしていないです」とお話になる相談者もいらっしゃいます。

話し合いの結果を遺産分割協議書として残していないと法務局へ相続登記の申請をすることができませんので、早めに話し合いの結果を書面にしましょう。

書面は後から作ればいいやと考えていると、いざ書面作成の際に相続人が印鑑を押してくれないなどのトラブルが生じてしまうこともあります。

・相続登記に必要となる書類を取得する

相続登記を申請するためには戸籍や印鑑証明書など、多くの書類を取得する必要があります。

その中でも、戸籍は複数の市役所・区役所へ請求をしなければ集められないことが多く、相続人の人数によっては数か月以上かかってしまうこともありますので、早めに準備を進めましょう。

・固定資産税の納税通知書や名寄帳を確認する

相続登記をするには、被相続人名義の不動産がどこにあるのかを把握するのが第一歩です。

固定資産税の納税通知書には不動産の所在地が記載されていますので、どういった不動産があるのかを確認しておきましょう。

また、「名寄帳」という書類には納税通知書には記載されていない不動産が書かれていることもあります。

柏市や松戸市でしたら市役所で、都内に不動産があれば都税事務所で取得できる書類ですので、役所に問い合わせてみましょう。

（役所によっては名寄帳という名称ではないこともあります）

・権利証を探しておく

相続登記自体には必要ないことも多いのですが、権利証には不動産の地番や家屋番号が記載されていますので、不動産がどこにあるのかの参考資料になります。

権利証は大切に保管されていることが多いので、金庫の中などを探してみましょう。

・お盆休みや正月休みなど相続人が集まる機会を利用する

上記の様な話し合いや書類の収集は、実家に相続人が集まったときに行うのが絶好のタイミングといえます。

お盆休みや正月休み、親族の方の誕生日などのイベントの際に相続人が集まる機会を利用してなるべく早めに準備を進めましょう。

逆に、相続人が集まるタイミングがないご家庭ですと、話合いをする機会というのは滅多にありませんので、少し無理をしてでも話合いの場を設けるようにする必要があります。

将来の相続に備える方

・遺言書の作成

不動産の所有者が死亡した後に相続登記を進めることができない一番の理由は、相続人間で遺産分割協議がまとまらないことです。

遺産分割協議をしなくとも相続登記ができるよう、遺言書を作ることを検討しましょう。

特に、相続人間に揉め事がある場合や相続人に認知症の方がいる場合は、早めに準備を進めましょう。

遺言書の作成についてはこちらをご覧ください。

・完済しているがまだ抹消されていない抵当権はないか

銀行などから借りている債務を完済した場合、抵当権を抹消するための書類が渡されます。

銀行から書類を渡されるとすぐに抵当権の抹消登記をする方がほとんどですが、中には書類を受け取ったあとにそのまま抵当権を抹消せずに放置してしまっている方もいらっしゃいます。

完済をした本人であればどこに書類があるか分かっていますが、相続が起こってしまうと銀行から渡された書類がどこにあるのか分からなくなってしまうこともあります。

そうなってくると、相続人が抵当権抹消をするときにかなりの労力がかかってしまいますので、なるべく早めに抵当権の登記は抹消しておきましょう。

詳しくはこちらのページもご覧ください。完済したはずの抵当権が残っている？

以上のように、相続登記の義務化といっても、普通の相続登記・相続対策とやることは変わりません。

これまでのように先延ばしにすることができなくなってきますので、準備を早めに進めておくことがより大事になりますね。